ビジネス

地元の地域活性にも貢献できる宿泊施設を。
補助ホストの伴走が成功の近道に

補助ホスト:Keikoさん(右) / サポートを受けたホスト:Kaoruさん(左)

2026年5月12日取材

Airbnbの宿泊先にステイすると、いつもの旅がより鮮やかに、心温まる時間とエモーショナルな思い出に彩られる……そんな体験を重ねて、いつかは自分もホスティングをと夢を描き、ホスティングを始めるホストさんも。

2026年2月に、東京都江東区に初めてAirbnbの宿泊施設をオープンしたKaoruさんもそのひとり。理想の物件は手に入れたものの、オープン準備となるとわからないことも多く、自分好みに内装をデザインするのとは違い、ゲスト目線にシフトしながら細やかな配慮や工夫を散りばめるテクニックも必要になってくる。人気の宿泊施設を作り上げるためにはやはり、それなりの成功ノウハウや経験値、宿泊施設運営者としての目線や感覚を身につけておきたい。

Kaoruさんは未経験者がひとりでできることには限界があると感じ、昨年末にAirbnb主催のセミナーに参加、そこで補助ホストマーケットを知り、さっそくAirbnbでの宿泊施設掲載およびゲストのおもてなしの経験を豊富に持つKeikoさんに補助ホストとしてサポートをお願いすることに。

Keikoさんは民泊激戦区の東京都内を中心に、人気のリスティング(宿泊施設)を25件も運営する実力派スーパーホストでありながら、2025年3月に補助ホストマーケットがはじまった当初から、補助ホストとしても活躍。開業や運営のノウハウと経験値、人気物件のヒントや”民泊あるある”の知識も兼ね備えたKeikoさんは、Kaoruさんの良さを引き出し、思いを形にするためのテクニックを惜しみなく伝授。「ひとりでトライ&エラーを繰り返すより、補助ホストにマンツーマンで教えてもらうほうがずっと近道で、姉御肌なKeikoさんだからこそアドバイスも愛情深く、余計な力みや不安を溶かしてくれた」と振り返るKaoruさん。約2か月間の万全サポートですっかり絆が深まったふたりに、立ち上げまでの二人三脚と、これからの夢について語り合ってもらった。

2026年2月にKaoruさんがオープンした、LUMIÈRE STAY(ルミエールステイ)。「訪れるゲストの旅が、あたたかい光に包まれるように」という思いから、“光”を意味するフランス語を冠したプライベートハウスは、新築3階建ての一棟貸しスタイル。下町情緒あふれる江東区の閑静な住宅街に佇み、陽当たり抜群の空間はどこも温かい光に包まれる。

“知識はあっても実践は違う。
補助ホストと二人三脚だからこそ、夢を理想の形に”

──Kaoruさんは2026年2月に初めての宿泊施設をオープンし、Airbnbでの掲載をスタートされたそうですが、これまでのご経歴から聞かせてください。

新ホストのKaoruさん(以下、Kaoru)
私は旅行が大好きで国内外を旅する中、8年前に初めて、北海道でAirbnbの宿泊先に泊まったんです。そのとき、ローカルに溶け込んで旅先でも暮らすように過ごす体験がとても印象に残っていて、その後も何度かAirbnbの宿泊先に泊まるたび、私もこういうゲストハウスをやってみたいと漠然と思っていました。私は昔から「人」と人が集まる「場」に興味があり、仕事でも人と人とのつながりや、地域コミュニティに関わる仕事に携わってきました。そんな背景もあって、いつか自分でも旅人が集まる場づくりをやってみたくて。そんな中で昨年乳がんを患い、今後の人生を考え直してみたときに、これからは今までできなかったこと、本当にやりたいことをやっていこうと改めて思ったんです。

ちょうどお見舞いに来てくれた友人が民泊をはじめたと聞いて、昨年8月にその友人が参加する民泊コミュニティに招待してもらいました。不動産投資をしていることもあり、ほどなくして物件の目処は立ったのですが、宿泊施設運営のことは何もわからなかったので、とにかく知識を増やしたくて、ほかのコミュニティにも参加し、オンライン上で質問をしていく中で親身にアドバイスを返してくれたのがKeikoさんでした。そうして交流がはじまり、昨年12月にKeikoさんが講師として登壇されたAirbnb主催のセミナーに参加。そこでAirbnbの補助ホストマーケットを知り、知識も経験も豊富なのはもちろん、人情味溢れるお人柄にも惹かれてサポートをお願いしようと決めました。

江東区はホストのKaoruさん自身が生まれ育った地元であり、「まずは自分の慣れ親しんだエリアで場作りがしたくて。近くには商店街もあって、ここで宿泊施設を運営しながら地域活性にも何か貢献できたらいいなと思ったんです」と笑顔で語るKaoruさん。

──Keikoさんはスーパーホストとして25件も運営しながら、2025年3月から補助ホストマーケットに掲載された第一号として活躍されているそうですね。

補助ホストのKeikoさん(以下、Keiko)
はい。これまで都内を中心に10人前後の方をサポートしてきたんですが、実は私もAirbnbでの宿泊施設運営歴はまだ2年なんです。もともとは証券会社やIT業界で長く働いてきて、わかりやすい成果や数字が大好きで、明確な評価をクリアすることに喜びを感じるタイプ。そんな性格から、レビュー平均4.8以上の高評価や宿泊実績など、Airbnbスーパーホストの認定条件を見たら、つい全部クリアしたくなって(笑)、早い段階でスーパーホストになることができました。ただ、宿泊施設運営は数字だけでは推し量れないところもたくさんあって、だからこそ面白く、チャレンジのしがいがあるなとも感じています。

──Keikoさんが2024年にAirbnbで宿泊ホストをはじめたきっかけは?

Keiko
私ももともと旅行好きで20か国以上を訪れ、アメリカやイギリス、香港など海外に駐在した経験もあり、Airbnbにも以前から興味がありました。私はホストになるまでAirbnbの宿泊先に泊まったことはなかったんですが、コロナ禍中に民泊界の著名な方の本を読んだら、「私にもできるかも」と思えて。一件目に墨田区の古い戸建て物件を購入し、2024年に宿泊ホストをスタートしました。それから程なくして本業のIT会社員を辞め、Airbnbホスト業に専念しはじめた頃からリスティングが加速度的に増え、今は東京都内を中心に25件を運営しています。

スーパーホストとしても補助ホストとしても経験豊富なKeikoさん。「私は明確な数字や目標に向かって真面目に突き進むタイプですが、民泊の運営やゲスト対応は数字だけでは測れない、問題集を解くのとはまったく違った面白さがあります」と、楽しさや奥深さ、ホスティングの魅力をたっぷり語ってくれたKeikoさん。

“民泊運営のテクニックを惜しみなく伝授。
ホストに大切な視点も養われました”

──Kaoruさんは不動産投資のご経験はあったとはいえ民泊運営は初めてだったと思いますが、はじめる前はどんな心境でしたか?

Kaoru
不動産の見極めなどはこれまでの経験も活かせたんですが、宿泊施設運営となるとわからないことだらけ。それでも私はなるべく自分でやりたくて準備は進めていたんですが、未経験でできることには限界があって。オープン後の運営やゲスト対応も不安だらけだったので、経験値のある方にサポートしてもらいたいなと思ったんです。

──昨年末にKeikoさんに補助ホストをお願いし、今年2月にオープンとはかなりのスピード感ですが、約2か月間でどのようにサポートされたんですか?

Keiko
昨年末にオファーを受けたときに、Kaoruさんから「3月の桜の時期にはオープンしたい」という明確なリクエストがありました。許認可などの申請はKaoruさんが1月までに済ませていましたが、運営準備はほとんどゼロ。早急に進めないと間に合わない状況だったので、スパルタ教育さながら、集中的に民泊について学んでもらいながら、設営の買い出しも一緒に行ったりしましたね。

Kaoru
そうそう。たとえばシーツや枕、マットレスなどを揃えるにも種類がたくさんで、選ぶ基準も分からない。インターネットで散々見て回っても、気づいたら3時間も経ったのに何一つ決められていない、なんてことも。そこで、Keikoさんに買い物も付き添ってもらったら、自宅のインテリアをそろえる感覚とはまったく違って、Keikoさんの目線や見極め力、アドバイスには驚くことばかりでした。

Keiko
インテリアはすべてKaoruさんのセンスでセレクトしたものですが、たとえばベッドをキングサイズ1台ではなく、シングル×2台にしておけばくっつけてキングとしても使えるなど、私は民泊運営のテクニックを一つひとつアドバイスしていきました。ときには「Keikoさんはそう言うけど、私はこうしたい!」とKaoruさんが譲れないこだわりもあって、たとえば3階のホームシアターに私は反対したんですが、Kaoruさんがどうしてもやりたいと。そういうときは私の意見を押し付けるより、「じゃあ、どうしたら安全にできるかを考えよう」と歩み寄って、私の経験値からアドバイスするようにしています。さすがに危険なことは止めますが、そうでない限りは自分のこだわりや思いをどんどん形にしていってほしいですし、それも醍醐味のひとつですから。結果的に、ホームシアターはKaoruさんの世界観が形になった“Kaoruワールド”として、この宿泊施設の魅力になったと思います。

ロフト付きの3階は、窓側がユニークな勾配天井に。物件購入後、せっかくならこの斜面を活かして何かできないかなと考えていたというKaoruさん。以前、現代美術家のワークショップに参加した際、勾配天井に映像を映すと面白いかもという話を聞き、ホームシアターのアイデアが浮かんだそう。
「ある素材をどう料理するか、いろんな人の意見を聞きながらあれこれ試していたんですが、その中でプロジェクターを使って斜めの天井に映像を映してみたらすごく良かったので、ぜひやりたいと思いました」とKaoruさん。150インチのプロジェクターから勾配天井に映し出される映画・テレビ映像は迫力満点。ベッドに寝転んでリラックスしながら鑑賞できるとあって、大人も子供も大喜び。忘れられない思い出に。

“最初から完璧に作り込まなくていい。
少しずつアップデートしていける楽しさも醍醐味”

Kaoru
オープンするまでは正直、こんな短期間で完璧に仕上げられるか不安や焦りがいっぱいで。コミュニティなどを通じていろんな人から情報や知識をもらっていたものの、経験がまったくないまま知識だけが先行している耳年増のように、頭でっかちにもなってしまって。

Keiko
そうでしたね。リスティングに載せる写真撮影は2月上旬にお願いしていたので、それまでにある程度の形を整えて、まずはスタートさせることを目指そうと。こだわりたいところは、オープンしてからでもゆっくりアップデートしていけますからね。

Kaoru
私は「完璧に作り込まなきゃ!」と思い込んでいたんですが、Keikoさんが「最初から完璧じゃなくてもいい。後から徐々に理想の形に近づけていけばいいのよ」と言って、私の不安や焦りをうまく溶かしてくれたのもすごく助けになりました。

室内でひときわ目を引く木製サッシは、国内木製サッシメーカー「日本の窓」のもの。物件の持ち主が同社創業者だと知り、実際にお会いして感銘を受けたそう。「このご縁を大切に、想いのこもった建物を受け継ぎ素敵な宿を運営していこうと思いました」と背筋が伸びる思いで語るKaoruさん。無垢材の温もりに、Keikoさんも心惹かれた。

Keiko
今後はゲストからのレビューで「あれは良かった」「これがあったらもっといい」「これはいらない」など、ゲスト目線の「何が欲しい、もっとこうしてほしい」という声がたくさん来ると思います。そのたびにゲストからも学びながら、どんどんアップデートしていけばいいんです。
私のリスティングもかつて低評価がついたことがありましたが、低評価がつくのにはそれなりの理由があるから。いちばん最初に始めた古い物件で評価1がついたときは、真冬の寒い夜、手元も暗くて玄関の鍵が開けられず、ゲストを1時間以上も待たせてしまって。その上に給湯器も止まってシャワーが水しか出ない。レビューにもその様子が書かれていましたが、そこから学び、玄関の照明や給湯器をパワーアップしたら、その後は低評価がつくことはなくなりました。
現在、すでに8カ月先まで満室の物件もありますが、人気の理由は基本に忠実だからだと思っています。何より大事なのは、トラブルのない宿を作ること。そしてゲストの声から学び、工夫を重ねてアップデートしていくのは民泊運営の基本中の基本。そういう“民泊という遊び”を、Kaoruさんもこれから末長くやっていく、それが楽しいところでもありますからね。

Kaoru
そうですね。今でも「もっと早く、予約がたくさん入るようにあれもこれもやんなきゃ!」とアタフタしている私に、Keikoさんはしょっちゅう「焦るな! まだ始まったばかり、この先まだまだ長いんだからね!」と諭してくれて(笑)、ことあるごとに私を落ち着かせてくれるのもありがたいです。

「建具や家具、ベッドやソファ、インテリアなど、クオリティは高く仕上げたくて」と語るように、スタイリッシュで清潔感あふれる内装デザインはそこかしこにKaoruさんのセンスが光る。最大8名まで宿泊できるので家族連れにもオススメとあって、子供たちが喜ぶキッズスペース、おもちゃやぬいぐるみ、キュートな壁紙なども。

“完全オーダーメイドのマンツーマン指導は、
補助ホストだから叶う成功の近道です”

──お2人の素晴らしい二人三脚を見て、「補助ホストに助けてほしい」という方も多いと思いますが、補助ホストへ依頼するメリットはどのように感じていますか?

Keiko
やはり完全オーダーメイドで万全サポートできるところですよね。私が補助ホストとしてしっかり面倒を見られるのはせいぜい同時に2人までですが、その代わりKaoruさんに合ったアドバイスやサポートができるのは個人で活躍する補助ホストならでは。補助ホストとしてのサポート料金も、Airbnbならアプリから直接、利益の分配率を設定できるので、宿泊するごとに売り上げの何%かを補助ホスト側に自動で振り込んでもらえる便利さもとても助かっています。

Kaoru
宿泊数が増えるほどお互いにハッピーで、お金のやりとりがスムーズなのも嬉しいですよね。私は自分で実践しながらその過程をマンツーマンでフォローしてもらいたかったので、補助ホストを選びました。実際Keikoさんのサポートを受けてみて、知識やテクニックがないまま無駄に時間と労力を費やすより、信頼できる方の力を借りて、ホストとしての知識や経験値を上げていくほうが最善の近道だなと感じます。
複数のコミュニティに入って情報収集もしていましたが、いろんな人からいろんな意見を聞いて情報過多になったり、参考になるマニュアルはあっても、実践では違うことも山ほどあるんですよね。初めてゲストを迎えたときも、トラブルになるのが怖くてあれもこれも伝えておかなきゃと、迷惑なくらいに何度もメッセージを送りすぎてしまって(笑)。そうしたゲストとのやりとりやさじ加減、困ったときやトラブルが起きたときも、補助ホストなら何でも相談できて、Keikoさんはクイックレスポンスで「それはこうよ、あれはこうよ!」と的確にフォローしてくれる。ロジカルですが、世話好きで親身に寄り添ってくれる安心感も大きくて、本当に心強かったです。

宿泊施設から程近い商店街を仲良くお散歩する2人。朝から行列ができる老舗ベーカリーをはじめ、ここにしかない地元グルメも魅力的。下町のローカル感を肌で感じられる。

──まだ出会って半年未満とは思えないくらい、素晴らしい信頼関係とチームワークですね! そんなお2人がこれから叶えたい夢についても、最後に聞かせてください。

Keiko
そうですね。私はこれから活動エリアを地方にも広げていきたいです。東京は不動産価格の高騰などから新規の立ち上げが難しくなりつつありますが、地方にはまだまだ伸びしろやチャンスが広がっていると感じるので、地方にリスティングを増やしつつ、補助ホストとしても地方の後進をサポートしていきたいです。

Kaoruさんもここがオープンする前からもう次の物件のことを考えていたくらい(笑)、民泊の楽しさを知ってもらえたようなので、これからどんどん広げていってもらえたら嬉しいですね。Kaoruさんは私にはできないところまで気を配れる女性で、ゲストのリクエストや相談事にも親身に対応してあげている姿もとても素敵です。明るくておしゃべり好きで面倒見もいい、そんなKaoruさんだからこそ、今度はKaoruさんが補助ホストになって誰かを助けていってほしいとも思います。私が会社員だった頃、先輩に助けてもらいながら大きく成長できたように、私も補助ホストとして後進を育てながら、その人たちがまた次の誰かを助けていってくれたらいいなと願っています。

──Keikoさんから後輩たちへの素晴らしいバトンタッチ、その連鎖が日本全国にも広がっていくのは楽しみですね! ホストとしても、未来の補助ホストとしても太鼓判を押されたKaoruさんもぜひ、今後の目標を聞かせてください。

Kaoru
そうですね。おかげさまで予約も順調に入り、ゲストに嬉しいレビューももらえて、今はずっと準備してきたことを形にできた喜びを噛み締めています。補助ホストになれるかは今後次第ですが、私もKeikoさん同様、いつか地方でもできたらと思っています。でもその前に、まずは地元のリスティングを育てたいですね。ゲストにはぜひ、下町情緒溢れるまちの魅力に触れてもらいたいですし、今後は下町ならではのガラス細工を体験できる工房など、体験型施設とのコラボレーションを企画したいと思っています。そうして地域の場作りや活性化にも貢献していけるようなホスティングを、これから楽しんでいきたいです。

今回の補助ホスト
Okui Keikoさん

サポートを受けたリスティング
Kaoruさん

photo:Akihiro Nakamura
text:Ayako Minato
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