佐藤さんが東京で物件を預かり運営するリスティングは順調な経営状況だ。
2025年に入って、同オーナーが所有している山中湖の別荘も活用を託され、運営を開始。当初、都内でのノウハウを横展開させるも、同じような稼働パターンには至らなかった。
早々に、都市部での手法がリゾートでは通用しないことを判断し、過去にairbnbプラットフォーム内で目にしていた補助ホストマーケットをリサーチ。同じ山中湖エリア内で補助ホストとして活動する石川さんにサポートを依頼した。
立ち上げ当初の集客に必要な情報設計が不足し、「どんなゲストが来れば満足度が高まるか?逆に不満につながるか?」というターゲットの深掘りが未完の状態だった。くわえて、長期的・連続的に稼働させ、収益を施設の改善や追加投資につなげていく必要がある、という課題意識があった。
そこで、部屋のテーマを明確にしてリスティングページに反映し、料金・プラン・人数・宿泊可能日数などの予約条件を最適化。想定するゲスト像を具体化することで、ホスト側も無理なくサービスを提供できる運営状態に整えた。あわせて、寒冷地ならではの設備対策の不足も洗い出し、ハード面の補強も並行して進めた。
9月から始めた改善は、1か月もしないうちに予約パターンに変化として表れ、自身の狙い通りにリスティングを運営できていることを実感し始めた。真冬のスローシーズンは準備期間に充てながら、春からの本格稼働を見据えている。

⎯⎯エアビーのホスト歴と、運営しているリスティング件数を教えてください。
サポートを受けたホストの佐藤さん(以下、佐藤)
ホスト歴は2年、運営件数は2軒です。東京と山中湖で行っています。
⎯⎯佐藤さんご自身は東京に住んでらっしゃるのですか?
佐藤
私は神奈川の茅ヶ崎に。ですので両方とも遠隔での運営になります。
⎯⎯山中湖でリスティングを始めたのは、どんな経緯からですか?
佐藤
東京の物件もそうなんですが、オーナーが知人でして。
山中湖の物件に関しても同じかたから借りており、たまたまのお話しからスタートしました。
⎯⎯それぞれのリスティングの特徴は、なんですか?
佐藤
東京のリスティングに関しては、コテコテすぎるぐらい日本っぽくしています。リビングに鎧を置いたり、寝室に桜の木を入れたり。エンターテインメントとして日本を感じていただけるぐらい、“らしく”つくっています。
一方、山中湖のほうは、当初どちらかというと一般的な別荘感を出していこうとしていたのですが、ゲストに対し、引きの弱い部分が見受けられて。それで、今回の件につながっていったんです。
⎯⎯知らない土地での運営ということで、開業当初は予約がなかなか伸び悩んだというふうにおうかがいしています。どんな不安やハードルを感じてらっしゃいましたか?
佐藤
東京は、自分のなかでそこまでスタートがむずかしくなく、また軌道に乗せるまでも思い描いてた理論がわりと通じたような印象だったんですね。
山中湖はそのノウハウをそのままスライドさせてきたのですが、やっぱり異なる手法じゃないと、なかなか思うような稼働につながらないという決断を、2~3か月目で下したような感じでしたね。

⎯⎯補助ホストマーケットの仕組みは、どこで知ったのですか?
佐藤
エアビーのプラットフォーム上で目にして、「何だろう?」と感じてクリックすると、サービスの概要が丁寧に説明されているのを見たんです。
⎯⎯実際に頼んでみようと思ったきっかけは、なんでしたか?
佐藤
やはり、都内でのやり方がリゾートでは通じなかったっていうのを、自分のなかで早めに見切りをつけたからでしょうか。
ひとりでたどり着くには数年かかる極意みたいなものを短期間で教えていただけるなら、絶対習ったほうがいいと判断したんです。
ノウハウは対価を払って得るもの、という考えを自分のなかでずっと持ってきたことも理由です。
⎯⎯そのようななか、石川さんにサポートをお願いしようと思った決め手は、なんでしたか?
佐藤
補助ホストの経歴などが見れるのですが、とにかく経験が豊富そうに見えたのがいちばん強い動機です。
さらに、山中湖周辺でリスティングを運営し成功していらっしゃるかたから学びたいというのが、僕のなかの考えにありました。
というのも、別のエリアで成功しているかたがこの地でうまくいくかっていうと、ちょっと違うのかなというのがあって。
地域性みたいな観点です。

⎯⎯次は石川さんへ。ご自身のホスト歴と、運営していらっしゃるリスティングの件数など教えてください。
石川
2023年からなので、3年目です。リスティングの件数は、立ち上げから運営まで、自分たちの手ですべて行っているのは2軒です。
不動産業を営んでいるので、お手伝いという意味では、エアビー以外も含め10~20軒と見ています。相談だけならもっとです。
ホストをする前から別荘の管理をやってきていたので、経験値は高いかもしれません。
⎯⎯山中湖エリアでの別荘の管理って、どんなものがあるんですか?
石川
庭の管理だったら、草刈りから見回りまで。例えば、ネットに野生の動物が絡まってしまっているのを放置しておいたらかわいそうですし、暴れてフェンスがぐちゃぐちゃに壊されちゃうこともあります。また、倒れそうな木をあらかじめ切ったり、倒れてしまった木を片付けたり。さらには、落ち葉を放っておくとウッドデッキを腐らせてしまうので掃除をしたり。そして冬場は、凍結による水道管の破裂を未然に防ぐための活動など……話しだすと無限大です。
自然が強い地域には、都市部の感覚だけでは想像できない問題がいっぱいあります。
そして、この地域の別荘でいろいろなトラブルが起きて、ネットを検索すると、だいたい僕が出てきます(笑)。
エアビーのゲストのなかには、日本に来るのが初めての方々もいらっしゃるわけで、危険をあらかじめしっかり取り除いておいてあげたい、という意識が強いのかもしれませんね。
⎯⎯石川さんは、補助ホストマーケットの存在を、どうやって知ったんですか?
石川
やっぱり、エアビーのプラットフォーム内でテキストが出てたのでクリックしてみました。
でも実は、その前から補助ホストっていうシステムは使わせていただいており、煩雑な事務手続きなしでリスティングを一緒に運営できるといった、ホストも補助ホストも幸せになれる仕組みがエアビーにはあるなあと感心していました。
そのような経緯もあって、サポートの形をつくりやすいシステムとして、エアビーさんが補助ホストマーケットをさらにしっかり構築しようとしているのがわかったので登録し、セミナーにも参加させてもらいました。
別荘の管理を通じて、現地に不在の物件オーナーさんだけでは問題解決が不十分なことも多いとわかっていたので、ホスト目線で補助ホストのことをよく考える癖がついていたんです。

⎯⎯ではおふたりに。サポートの相談からスタートまでは、どのような感じで進められていったのでしょうか?
佐藤
まず私のほうから、山中湖のリスティングで具体的に目指してる形をお話しさせていただきました。そこから、石川さんのほうで私のリスティングページを確認いただいて。その時点で、良くも悪くも歯に衣着せないさまざまな指摘があったので、「ああ、もうこのかたしかいないな」って。
やっぱり忖度なく言っていただかないと、まったく意味がないことでしたので。
⎯⎯佐藤さんから、忖度なくっていうところでお話しいただいたのですが、当初はどんな課題がありましたか?
石川
ゲストの満足度の手前で、集客するには足りていない情報の出し方だったりがありました。
どういうゲストが来たらこの施設がポテンシャルを発揮できるのか。長期的にこの宿をどういうふうに育てていったらいいか。また逆に、どういうゲストが来たら不満足に感じてしまう可能性が出てきてしまうか。
そういった深掘りや分析が終わっていないなと感じました。
この地域は観光地としてとても強いので、すべての宿が満室になるぐらいのシーズンやイベントの時期があり、何もしなくても部屋は埋まります。
でも、せっかく立ち上げたリスティングなのだから、長期的・連続的に稼働できる状態にしていかないといけない。そうでなければ、ホストさんもオーナーさんも収入を伸ばしたり、施設の改善やオプション追加のための工事に投資したりすることができず、Airbnbという世界的にマーケティングできているプラットフォームを使っているのに、非常にもったいない。もっと上を目指せるよ、っていう思いが僕のなかにあったので、そういう部分をぶつけたんじゃないかなと思います。

⎯⎯具体的にどんなところを課題に感じたんでしょうか?
石川
実際の部屋のつくり方と、リスティングページに掲載する情報の出し方のマッチングですかね。
本当はこういうゲストに来ていただきたいのに、全然違うテイストのゲストが来てしまい、ゲスト側もイメージと違ったと感じてしまって、双方にとって嬉しくない状況にならないようにしないといけません。要するに、どんなゲストが、どんな目的で予約をすると、満足度の高い状態でホスティングできるのか、という点がいちばん大事なところですよね。
他には、寒冷地として準備しておかなければいけない暖房設備だったりっていうのは、現地で暮らしてないと、どの程度のものが必要かわからないことがあったりしますよね。
⎯⎯さまざま改善していったなかで、「ここを変えたからすごく良くなった」といった具体例は、なにかありましたか?
石川
部屋のテーマをつくり、リスティングページにしっかりと反映させることで、そのテーマが好きなゲストは佐藤さんのリスティングをチョイスしやすくなったと思います。
他には、料金やプラン、間取りに対する人数や宿泊可能日数など、基本的な予約の形をある程度絞り込むことで、ホスト側もサービスを無理なく提供しやすくなったりするので、想定するゲストをしっかり設定した、というのがいちばんだと思います。
仮に何も設定しなければ、一泊だけしたいゲストというのは国内にたくさんいらっしゃると思うので、そういったゲストをしっかり満足させてあげる宿が必要ですし、連続で泊まってくださるゲストが満足できるようなリスティングのつくりかたもあるでしょう。それを柔軟に設定できる、というのがエアビーのプラットフォームのいいところだと思います。
⎯⎯サポートが進んでいくなかで、手応えを感じたのはどんな部分でしたか?
佐藤
やはり、想定してるゲストと違うゲストが来ていたというのが大きな課題のひとつだったのですが、石川さんと試行錯誤していくなか、ついに想定したゲストからの予約が入るようになり始めました。
その瞬間がもう、鳥肌が立つぐらい嬉しくて、即石川さんにLINEしちゃったぐらいです。「来ましたね!」と。
⎯⎯ターゲットと違うゲストが泊まりに来ることで発生していた不具合としては、どんなことが挙げられますか?
佐藤
長期宿泊を獲得したいっていうのが思いのひとつにあったのですが、単純に、週末しか埋まらない宿になってしまっていたんです。同じ3泊でも、3組のゲストが3回いらっしゃるのと、1組のゲストが3日間通しでステイしてくださるのでは、サービスの質も、結果ゲストの満足度も変わってきます。
エアビーの魅力のひとつが、「暮らすように旅をする」という長期滞在だと思っているので、1泊の滞在だと、この地も含めたこのリスティングの良さが伝わらないままゲストが出ていってしまい、それが転じて、リスティングに対するレビューにもつながっていってしまいます。その悪循環を変えたいというのがありました。
もちろん、オペレーション自体もすごく大変で。それを痛感したのが8月で、毎日のようにゲストが入れ替わり立ち替わり変わっていく。チェックインとチェックアウトって、すごく気を遣っていらっしゃるホストのみなさんは多いと思うのですが、毎日緊張しながらその時間を迎えていました。
さらに掃除の手間もあります。そのようななか伝達ミスで大騒ぎになったこともありますし、これはいつか大きな事故につながるなという予感もありました。
つまり、私の考えている運営方法と違うというジレンマをずっと持ち続けながら施設を続けていたんです。

⎯⎯このエリアでの経験は、ホスティングへのサポートにどう生かされていると思いますか?
石川
元々は東京に住んでいて、子どもを田舎で育てたいという思いからこちらに移住してきました。僕自身も子どもの頃から両親に連れられて山中湖の別荘で過ごす時間が多く、ここの魅力を東京在住の人の目線でも知っていました。移住してきてからは、この地の厳しい部分、自然環境だったり、施設の維持のむずかしさも知りました。
また僕は、生まれがイギリスということもあり、海外の人が日本への旅行を計画するなか、富士山エリアへ何を求めにやって来るかも知ってます。
ですので、いま言ったようなゲストの方々が、何に不満があるとか、もうちょっとこういうサービスがあったら嬉しいなというのは理解できるので、自分が関わるリスティングにはその部分を足してあげたい。そういう思いが強いんです。
地域を知る人間としても有利だと思うのですが、外もわかるというのが、僕の強みかなと思います。都市部と地域、海外と日本、といった両方の視点ですね。
⎯⎯サポートを受けた後の予約や問い合わせ、レビューの動きは、どのように変化しましたか?
佐藤
本格稼働して、まだ1か月そこそこなんですが、すでに狙ったターゲットからの予約お問い合わせが来始めている。併せて、狙っていないターゲットからのお問い合わせは来ていない。もうそれだけでも僕のなかでは、ものすごく大きな成果です。そのうえで、予約数、稼働率っていうのは時間をかけながら改善していくものだと思っているので、すでに確実にスイッチしている実感がありますね。
石川
このエリアへ旅行しようとしているターゲットのゲストが宿を選ぶときにちゃんと候補に入っているというのは、もう僕らのなかで確認できています。12月、 1月、 2月はめちゃくちゃ寒く観光もスローな時期ですが、その期間でしっかりと準備しながら、また春からのサービスしやすい時期を迎えていきたいなという感じです。
エアビーのプラットフォームのいいところのひとつとして、評価とレビューをしっかり入れてもらえるので、ゲストの満足が積み重なれば、それ自体が集客効果にもなり、ここがいい宿だと証明できる。それをひとつずつやっていきたいなと思っています。
そうした流れのなかでいま、間違いなく集客をコントロールできるようになってきている。このハンドルを握れている状態が、事業における心の安定にもつながりますよね。
佐藤
本当にそうですね。素晴らしい表現。コントロールして集客をしているんだって、本当に強く実感してます。
⎯⎯ご自身では気づけなかった点など、あとになって感じていたりしますか?
佐藤
もう、たくさんすぎて。特に寒冷地ならではの対策っていうのが圧倒的に足りていなかったので、そもそもプライシングやテーマといった話以前に、設備が脆弱すぎていたんです。
というのも、オーナー自身は冬季にはここに来ていなかったようなんですね。
それを冬季にも回していくとなると、やはり相応の対策が必要になってくることを私がまったく把握していなかった……。
ですので、テーマやプライシングなどと並行して、寒冷地ならではの設備の補強というハード面も強化していったというのが、ここ数か月の流れですね。

⎯⎯今回のサポートを通じて、ご自身のなかで学びはありましたか?
石川
知らない地でホスティングをするのであれば、いろんな物事をゼロから想定していかないといけないなと、あらためて思いました。話しは極端ですが、一年間ノーゲストにして、起こりうる問題が何かを見極めていくぐらい慎重になってもいいかもしれない。
というのも、一生に一度の日本への旅行だったり、この地域への旅行っていうのを企画したゲストに対し、最悪な体験をさせたくはないですから。
⎯⎯ゆかりのない地域で民泊を始める方々に、いまお伝えしたいことはありますか?
佐藤
やはり調査は入念に……ですね。
石川
その地域で宿をうまく運営されている方に一回チェックしてもらうと、安心という保険を得られるかもしれません。地域ごとに重要視すべき注意点は違ってくると思いますので。
⎯⎯では、補助ホストの活動が地域にもたらす価値はなんだと思いますか?
石川
経済的な効果はもちろんなのですが、地域愛を持っている補助ホストと組むことで、地域全体が求めている形で宿を運営しやすくなるかなと思います。
地域の土地や建物、それから自然は、地域の人の財産です。その財産を壊しながら運営するのではなく、地域住民みんなが喜ぶように形成していけたらいいですね。
⎯⎯今後補助ホストとしての活動をどのように広げていきたいなど、イメージはありますか?
石川
地域にとってしっかりとした配慮を持ちながら一緒に活動していけるかたがいらっしゃるなら、たくさんお手伝いさせていただきたいと思っています。
個人的にも、息子をここで育てたくて移住してきて、ここは息子の故郷にもなる土地です。ですから、素敵なホストが素敵なゲストを迎えて、素敵な場所だなと感じてもらえる。そうやって、みんなで幸せになれるような形で地域が活性化していってほしいと願っています。

今回の補助ホスト
石川 Michael & Mayumi さん
サポートを受けたリスティング
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