「宿泊」のマッチングプラットフォームであるAirbnbは2025年、「体験」のリニューアルと「サービス」の導入を行いました。「体験」は食べ歩きや料理教室、アート体験といったアクティビティをホストが提供し、「サービス」では写真撮影やヘアメイクなどの専門スキルやサービスを提供するホストがいます。これによってAirbnbは、宿泊だけでなく「旅」を包括的にサポートするプラットフォームとして進化しています。
2026年6月30日に開催された全国のホストが一堂に会するイベント「Airbnb Unite」では、宿泊・体験・サービス、それぞれのホスティング活動をしている4名のホストによる座談会が実現。それぞれの価値と、今後の連携の可能性を語り合いました。そのトークディスカッションの模様をお届けします。




Takako(司会/Airbnb Japan)
今日は3つのトークテーマを用意していますので、一つずつ質問していきたいと思います。まず一つ目は、普段、皆さんはどんなゲストを迎えることが多いでしょうか?
ぽんこつ鳩子
私は東京で民泊を運営しているので、99・9%は海外からの観光客の方ですね。なかでも長期滞在のゲストが多いのが特徴で、昨日チェックインした方の場合は1年間泊まる予定で来られました。家族で滞在されるのですが、近くにインターナショナルスクールがある一軒家で、息子さんをそこに通わせたいということでした。観光以外のニーズがあるということに驚かされることも多いですね。
Ken
町田や川崎といった観光地ではない立地で民泊を運営しているのもあって、日本の普通の風景を楽しみたいという理由で滞在される海外からのゲストが多いですね。滞在期間は平均で1週間から10日間。一人か二人で来られる方が多いです。
Tatsuya
私の場合もほとんどが海外からのゲストですが、大きく分けて2つのニーズがあると感じています。一つは、世界的な抹茶ブームが気になって来られて、純粋においしい抹茶を飲みたいとか抹茶について知りたいと思っている方。もう一つは、抹茶の味だけでなく、茶道という伝統文化や日本の歴史自体を知りたいという方がいらっしゃいます。
Anil(Akira)
私も99%はインバウンドの方ですね。日本への観光客というのは以前は買い物需要が多かったと思うのですが、最近では何かしらの「特別な体験」を求めている方が多いなと感じます。コミュニケーションをとって信頼関係を築いた方が撮影時に自然な笑顔が引き出せるので、ローカルな飲食店が知りたいと言われれば教えたり、それこそ抹茶が飲みたいと言われたら知っているお店を教えたりして交流を心がけています。Airbnbで宿泊をしてからサービスを受けられる方も多いですね。
Takako(司会/Airbnb Japan)
モノ消費からコト消費に変わってきているというのが興味深いですね。Airbnbをハブに、宿泊から体験、サービスまで楽しんでくれる可能性も増していますね。次のテーマは、ゲストに喜んでもらうために工夫していること、ということで、Anilさんからお聞きできますか?
Anil(Akira)
写真撮影の場合、撮ってから編集してゲストに現物やデータを提供するまでに3日から1週間ほどかかってしまうんですね。「できあがるまでちょっと待っててくださいね」と言っているのですが、撮影したその日の夜に、3〜4枚ほどのベストショットの写真だけ、早めに編集してサプライズで送るようにしているんです。特にプロポーズのために写真をご依頼される方などは、インスタや家族に一刻も早く写真をシェアしたいはずじゃないですか。簡単なことではありますが、そうしたおもてなしはとても喜んでくれますね。

Tatsuya
体験ホストは宿泊ホストと比べてもゲストと過ごす時間が長いので、私の場合は毎日新鮮な気持ちでゲストを迎えて、自分も楽しんで接することを意識しています。もう少しテクニック的なところで言うと、メリハリを大事にしていますね。ゲストを迎えるときは、笑顔をがんばって作って和やかな空気を演出しつつ、お茶の体験が始まったら、「ここからはカジュアルなトークはできません」と空気を引き締める。1時間の中にできるだけ抑揚をつけることで、印象に残る体験を提供しています。
Ken
細かいところですが、宿泊先にウェルカムカードや地元のお菓子を置いておくといった配慮は大事にしています。あと、安心感を与えるという意味では、最近も地震がありましたが、そのたびに「大丈夫でしたか?」とゲストにメッセージを送るようにしているんです。すると「怖かったけど大丈夫だよ」とすぐに返事が来たりします。体験ホストをするようになってから、ゲストの喜ぶ顔をより直接見られるようになったのが新鮮ですね。古民家の歴史や自分のことを話すと反応がよくて、皆さんそうしたリアルな体験を求めているのだなと実感します。
Takako(司会/Airbnb Japan)
不在型になってくるとあまりゲストとの接点がない分、工夫が必要になってくると思うのですが、鳩子さんはいかがですか?
ぽんこつ鳩子
そうですね、私の場合は程よい距離感でゲストと接することを一番大事にしていますね。なかにはあんまり構ってほしくないというゲストさんもいらっしゃるので、いかにストレスフリーな状態でセルフチェックイン・チェックアウトしてもらえるかをすごく考えています。Airbnbのアプリだと簡単にゲストと情報共有できるので、機能を最大限活用して交流しています。
Takako(司会/Airbnb Japan)
適度な距離感が重要ですよね。
ぽんこつ鳩子
ホストにも「ゲスト目線」があるべきだと思いますね。自分がゲストとして宿泊や体験、サービスに参加してみることで、何が求められるのかわかってくるはずです。
Takako(司会/Airbnb Japan)
最後のトークテーマになります。宿泊・体験・サービス、それぞれのホストが連携するならどういう可能性がありますか? まずは宿泊と体験を提供しているKenさんから伺いましょうか。
Ken
私はサービスホストはやっていませんが、一度中野でヘアカットを提供しているサービスのリスティングに、ゲストとして参加してみたことがあるんです。髪を切ってもらいながら、どんなお客さんがどんな目的で来ているのかを聞いてみました。そんなふうに自分がゲストとして他の体験やサービスに参加してみるのが、連携の第一歩としていいんじゃないかなと思います。実際に体験してみないとどんな内容かわかりませんし、内容がわかれば、自分が提供している宿泊や体験とリンクさせられる可能性も見えてきますからね。
Tatsuya
Airbnbのプラットフォームを利用する方は、ホストとのつながりを大事にされている方も多く、情報や知識をシェアすると喜んでくれる。だから、体験を提供している自分も、宿泊やサービスについて知って、情報をシェアできたら可能性が広がるなと思っています。
Takako(司会/Airbnb Japan)
Airbnbは「ホームシェアリング」という言葉を大事にしていますが、お家から始まり体験や知識など、シェアという観点で広げていけるといいですよね。Anilさんはいかがでしょう。
Anil(Akira)
写真撮影をした後に、よく飲食店や他の観光体験についておすすめを聞かれるんです。そんなときに、Airbnbの他のホストさんの体験を見て、私も知っている方だと安心してすすめることができる。さまざまな業界のプロたちが運営しているリスティングばかりなので、ネットで知っただけの店を紹介するより説得力がありますよね。実際に観光案内の体験ホストを紹介したこともあるのですが、「案内すごく良かった」とすぐにフィードバックがきたりするんです。それは私にとってもうれしいことなんです。
Takako(司会/Airbnb Japan)
別の体験を紹介してつながりが育まれていくって、すごく素敵ですよね。Airbnbのホストは、ライバルじゃなくて仲間やコミュニティ。さまざまな情報をシェアリングする場所という認識が広がっているのかもしれません。
ぽんこつ鳩子
宿泊ホストさんは、いい意味でおせっかいな人が多いじゃないですか。だから、自覚なく体験やサービス的なものをゲストの方に提供しているホストもいると思うんですよ。宿泊ホストさんも、体験やサービスに乗り出していける可能性がすごくある。それによってゲストの方にも体験やサービスの存在が広がりますし、Airbnbの中でゲストが回遊していくといいですよね。私も今後、体験やサービスに挑戦したいなって今日の皆さんの話を聞いていて思いました!
Takako(司会/Airbnb Japan)
鳩子さんとお酒を飲みにいける体験とか、絶対にすぐ埋まると思いますよ! 皆さん3つのトークテーマでお答えいただきありがとうございました。改めて、ゲストさんが旅を包括的に楽しめるように、こうしたホストさんが交流できる場を増やせたらいいなと思っています。

会場では、4人のトークセッションに聞き入っていたホストたちの姿も印象的でした。大阪の体験ホストの方に感想を伺ったところ、「体験リスティングをより知ってもらうために、宿泊ホストさんとの連携が必要だと感じていました。宿泊から体験へとシームレスに動線をつなげられればいいなと思っていたので、今日のトークセッションやイベントをきっかけに交流を深めたいです」といった返答がありました。
まずは他のホストのリスティングに参加してみること――Kenさんが語ったこの一歩が、宿泊・体験・サービスという垣根を越えるきっかけになっていくことでしょう。ホストたちが互いにゲストとなり、学び合い、つながっていく。そんな連携の芽が、Airbnbというプラットフォームの中で静かに育ち始めています。